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JOURNAL赤ちゃんの肌の常在菌は、生まれてから1年かけて育つ

書いた人
駒木 綾乃
最終更新

赤ちゃんの肌には、生まれて数日のうちに常在菌がすみはじめます。その顔ぶれは、1年かけて少しずつ入れかわっていきます。研究でわかってきたことを、論文をもとにまとめました。

この記事の内容

肌には、もともと菌がすんでいる

大人の肌にも、赤ちゃんの肌にも、目に見えないほど小さな菌がすんでいます。ふだんから肌にいる菌なので、「常在菌(じょうざいきん)」と呼ばれます。

肌の表面は、乾いていて、栄養が少なく、弱い酸性です。外から来た菌にとっては、すみにくい場所です。それでも、肌にはたくさんの種類の菌がすんでいます[1]。よく知られているのは、表皮ブドウ球菌(ひょうひブドウきゅうきん)という菌です。

「菌」と聞くと、汚れやばい菌を思い浮かべるかもしれません。けれど肌の菌の多くは、毎日いっしょに暮らしている、顔なじみのようなものです。

生まれて数日で、菌がすみはじめる

赤ちゃんの肌に菌がすみはじめるのは、生まれてすぐです。アメリカの研究では、生まれて数日のうちに、肌の表面に一気に菌が広がることがわかりました[2]。

ノルウェーとスウェーデンで行われている研究(PreventADALL)では、生まれた日の肌の菌の顔ぶれが、生まれ方によって大きく違っていました。ただ、その違いは一時的なものだったと報告されています[3]。

1年かけて、顔ぶれが入れかわっていく

生まれたばかりの赤ちゃんの肌は、ブドウ球菌の仲間が多い状態から始まります。1歳に近づくにつれてブドウ球菌の仲間は減り、いろいろな菌が少しずつそろっていきます。菌の種類は、月齢とともに増えていきます[2]。

同じ赤ちゃんでも、体の場所によって顔ぶれは違います。また、大人の肌とも違う顔ぶれでした[2]。

先ほどの北欧の研究では、346人の赤ちゃんの腕の肌を、生まれた日・3か月・6か月・12か月の4回調べています。肌の菌の顔ぶれは、月齢ごとにはっきり違っていました。生まれ方のほかに、まわりの環境や家族のこと、母乳なども、顔ぶれに関わっていました[3]。

「肌の菌は1年で育つ」というのは、このように、最初の1年で顔ぶれが大きく入れかわっていく、ということです。

床をはいはいして進む赤ちゃん

肌の菌と、肌のバリアの関係

肌には、水分が外へ逃げないように守る働きがあります。これを「肌のバリア」と呼びます。

北欧の研究では、最初の1年の肌の菌の顔ぶれが、肌のバリアの状態と関係していました[3]。

アイルランドの研究では、1歳のときに湿疹があった赤ちゃん10人と、なかった赤ちゃん10人を比べています。湿疹があった赤ちゃんは、生後2か月のときに、ひじの内側にいるブドウ球菌の仲間(表皮ブドウ球菌など、ふだんから肌にいるもの)が少なかったそうです[4]。

マウスを使った研究では、生まれてすぐの限られた時期に肌に菌がすむことで、体がその菌を「敵ではない」と覚えることが示されました[5]。

ここまでのまとめ

  • 赤ちゃんの肌には、生まれて数日のうちに菌がすみはじめる
  • 肌の菌の顔ぶれは、最初の1年で大きく入れかわる
  • 顔ぶれには、月齢・生まれ方・まわりの環境・母乳などが関わっている
  • 肌の菌の顔ぶれは、肌のバリアの状態とも関係している

大人の手の上に、赤ちゃんの小さな手

&UTA が「育菌」と呼んでいること

&UTA をつくるきっかけは、息子・うたの肌でした。保湿しても、またカサカサする。何を使えばいいのか、これで合っているのか。私たちにも、分かりませんでした。

調べていくうちに知ったのが、ここまで書いてきた、肌の菌のことです。赤ちゃんの肌は、菌といっしょに、1年かけて育っていく。それなら、肌にいる菌のことも考えて、スキンケアを選びたいと思いました。

「育菌」といっても、菌を増やす、という意味ではありません。肌にいる菌の存在まで含めて、毎日のスキンケアを考えること。私たちは、それを「育菌」と呼んでいます。

よくある質問

帝王切開で生まれると、肌の菌の育ち方は違う?

北欧で346人の赤ちゃんを1年間調べた研究では、生まれた日の肌の菌の顔ぶれは、生まれ方によって大きく違いました。ただ、その違いは一時的なもので、そのあとの顔ぶれは月齢によって決まっていた、と報告されています(Rapin ほか・2023年)。

この記事は一般的な情報です。肌の症状が続くとき、気になるときは、医師にご相談ください。

参考にした資料

  1. Byrd AL, Belkaid Y, Segre JA(2018)The human skin microbiome(Nature Reviews Microbiology)
  2. Capone KA ほか(2011)Diversity of the human skin microbiome early in life(Journal of Investigative Dermatology)
  3. Rapin A, Rehbinder EM ほか(2023)The skin microbiome in the first year of life and its association with atopic dermatitis(Allergy)
  4. Kennedy EA ほか(2017)Skin microbiome before development of atopic dermatitis(Journal of Allergy and Clinical Immunology)
  5. Scharschmidt TC ほか(2015)A wave of regulatory T cells into neonatal skin mediates tolerance to commensal microbes(Immunity)